日本だけでなく、麻疹(はしか)の大流行が世界的に起こっている今日このごろ。
フィリピンでも感染者は11459人にのぼり、189人の死亡が発表されました(2019年2月20日現在)。
参考
DOH: Over 11,000 measles cases, 189 deaths in PhilippinesABS CBN news
麻疹(はしか)の恐ろしいところは、主に以下のとおり。
- インフルエンザの10倍とも言われる強力な感染力。
- 発症後の有効な治療法がなく、対症療法のみ。
- 肺炎、脳炎など命に関わる合併症のリスクが高い(罹患率30%)。
- 感染して4〜8年の潜伏期間後に起こる重篤な合併症がある(亜急性硬化性全脳炎:SSPE)。
麻疹(はしか)はワクチンの接種のみが唯一の予防法とされます。
麻疹の予防接種というと子どもが受けるものというイメージがあるかもしれませんが、大人も命にかかわる合併症が起こるリスクが高く、確実な免疫がない人は接種が推奨されています。
確実な免疫があるとされる人:
予防接種を2回接種したことがある人、これまでに麻疹に感染したことが明らかな人
ただ、マニラだとどこで受けられるの?費用はどのくらいなの?という疑問点や、平日休みを取るのは難しいという状況から、接種をためらう人もいるかもしれません。
受けようと思っていた施設のワクチンが在庫切れ、というケースもあります。
ここでは、私と夫が2月の半ばの日曜日に東京ヘルスリンクマカティでMMR(麻疹、風疹、おたふくかぜ)ワクチンを接種した経緯を踏まえ、麻疹の予防接種を受ける病院の探し方、私の調べた範囲の費用の目安をまとめます。
麻疹以外の予防接種についても流れは同じですので、参考になれば幸いです。
ワクチンを接種できる病院の探し方
マニラにもいろんな病院がありますが、日本人に馴染みのある病院では予防接種を取り扱っている病院が多いです。
例)日本人会診療所、St. Luke’s Medical Center、Makati Medical Center、東京ヘルスリンク など
ただし、日本との違いとして、セントルークスやマカティメディカルなどの総合病院はオープンシステムと呼ばれる制度をとっています。
これにより、医師は病院に所属せず院内のブースを借りて個別にクリニックを開院しているかたちになっています。デパートのテナントのようなイメージですね。
そのため、予防接種のワクチンは医師が独自に在庫を抱えていて、総合病院に直接問い合わせてもどこに目的のワクチンがあるのか探してもらうのが難しいという現状があります。
また、プロフェッショナルフィー(技術料)を医師が自分で決めることができるため、接種費用も医師によって異なります。
そんななか、接種できる施設を選ぶ方法は主に3つ。
- 窓口がわかりやすいクリニックに問い合わせる
- 大きな病院の知っている医師(秘書)に問い合わせる
- ジャパニーズヘルプデスクに依頼して探してもらう
日本人会診療所や東京ヘルスリンクなど、窓口で予防接種の在庫や価格などを確認してもらえる施設の場合は問い合わせをしやすいです。
【日本人会診療所】02-818-0880
【東京ヘルスリンクマカティ】
電話:02-817-2935/ 0917-861-8362(日本語)
Mail:jp_makati@tokyohealthlink.net(日本語)
セントルークスなど大きな病院の場合は、予防接種を日頃から行っていることがわかっている医師を知っていれば直接病院の外来(クリニックの秘書さんなど)に問い合わせができます。
ジャパニーズヘルプデスクは海外旅行保険に関する医療サポートを担う会社ですが、予防接種など保険対象外の案件については1500ペソ/時間で対応してくれます。
マカティメディカルやセントルークスなどの担当者に問い合わせをして探してもらうかたちです。
- St. Luke’s Medical Center(Global City):0917-592-5732
- Makati Medical Center(Makati):0917-716-9007
- Asian Hospital and Medical Center(Alagang):0917-819-5461
ヘルプデスクの詳細については、「フィリピン・マニラで具合が悪くなったときに頼れる医療サポートサービス5個」の記事も合わせてご覧ください。
なお、狂犬病ワクチンなど、総合病院の救急外来に直接受診して接種できるものもあります。
ただ、今回のような麻疹のアウトブレイクの状況では患者が多く集まる可能性があり、待ち時間の長い場所に予防接種を受けにいくのはリスクがあるかと思います。
我が家が東京ヘルスリンクを選んだ理由
うちがMMRの予防接種を受けるにあたって、
- できれば夫の仕事の調整がつきやすい時間に接種できる(休日や夜間など)
- 待ち時間が少ない
- 費用が抑えめ
という希望がありました。
その全てに一致したのが東京ヘルスリンクだったので、ヘルスリンクに決めました。
今回、私と夫のMMRワクチン接種を受けるにあたって検討したのは以下の5つ。
- 日本人会診療所
- ジャパニーズヘルプデスククリニック
- マカティメディカルセンター(ジャパニーズヘルプデスク)
- セントルークスメディカルセンター(医師に直接確認)
- 東京ヘルスリンクマカティ
各施設の詳細は、「マニラで日本語サポートのある病院・評判のよい病院15選【眼科・歯医者あり】 の記事も合わせてご覧ください。
1.日本人会診療所
マカティにあるクリニックで、日本人が多く訪れる施設のひとつ。土曜日の午前中も診療があります。
HPに各予防接種費用が明確に記載されていて、2018年11月の表によると、MMR(麻疹・風疹・おたふく風邪)のワクチン接種費用は1200ペソ。
ただし、日本人会、海外邦人医療基金の一方だけ会員の場合は+200ペソ、いずれの会員でもない人は+1000ペソとのこと。
*7歳以下の小児は更に+500ペソです。
日本人会診療所も、事前に連絡をしてワクチンの在庫があるか確認する必要があります。
問い合わせを思いついたのが診療時間外だったのと、診療予約ができないという点があったので、まず他の施設にアプローチして日本人会に在庫確認はしませんでした。
2.ジャパニーズヘルプデスククリニック
マカティメディカルセンターの隣にある、夜間や土曜日の午後に診察のあるクリニック。
海外旅行保険が対象外の診療には1500ペソかかるということで、予防接種の場合はワクチンの実費+1500ペソなのかなと思います。
問い合わせしたときには在庫がなかったので、正確な値段はわかりませんでした。
3. マカティメディカルセンター(ジャパニーズヘルプデスク)
2のヘルプデスククリニックはマカティメディカルの担当の人が対応することになっているそうで、クリニックに問い合わせたとき、在庫がないのでマカティメディカルから探してくださるというご連絡をいただきました。
ただ、その日は在庫が見つからなかったということで、セントルークスに引き継ぎ。
セントルークスの方におつなぎいただいた時点で他の施設で在庫が見つかったので、セントルークスの方には探していただきませんでした。
4.セントルークスメディカルセンター(医師に直接確認)
息子のかかりつけの小児科医師がセントルークスにクリニックを構えているので、在庫と接種費用を問い合わせました。
また、友人のかかっている小児科医師の連絡先も教えてもらえたので、問い合わせをしました。
結果、どちらも2800〜3000ペソという返答でした。
小児科医師なので、成人の予防接種でもプロフェッショナルフィーは同じ(大人より高め?)なのかなと。
5. 東京ヘルスリンクマカティ
東京ヘルスリンクは病院に専従の日本語通訳の人がいらっしゃるので、メールで問い合わせをしたところ、すぐにお返事をいただきました。
- 在庫あり
- ワクチンの実費+300ペソで対応
- しかも土日にやってくれる!
これはありがたい。
当時の在庫では接種費用のトータルは1100ペソと言われました。
ということで、ヘルスリンクに決めました。^^
ワクチン接種の実際の様子
東京ヘルスリンクマカティはマカティの西側を走るChino Roces通り沿いにあります。
受付
朝一番で予約し、8時に病院へ。
担当の日本人の方がいらっしゃるラウンジで待たせていただきました。
特に書類の記載などはなく、名前と生年月日の確認、アレルギーの確認をされました。
予防接種手帳を持っているか聞かれたので、持参しました。
私の予防接種の記録をする手帳は日本のトラベルクリニックでもらったもの。いつどのワクチンを接種したのか忘れがちなのであると助かります^^;
夫は持っていなかったので、接種記録の紙を発行していただきました。
このラウンジ、かなりいいです。
待ち時間に他の患者さんと接触する機会が減ることが最大のメリット。
ソファはふかふか、息子のために日本のアニメを流してくださったりという心遣いも!
そして、このトイレ!日本そのもの。思わず写真を撮ってしまいます。
接種
注射してくれたのは看護師でした。
ワクチンの状態を目視で私も確認し、上腕に接種。
全然痛くなかったです。
ワクチン記録がこちら。Lot番号や種類がわかるので、数年後に確認したいときに便利です。
お支払い
お支払いは現金で。今回は1150ペソ×2人分で2300ペソでした。
(おまけ)トラブルもあったけど逆に安心した話
実は、1回目に予約した日、確保していたワクチンが適切に保管されていなかったおそれがあるので接種できないという事態がありました。
目視で品質が劣化している(色が変わっていて沈殿物がある)というのです。えーΣ(;゜д゜)
夫はわざわざ仕事の調整をして行ったのでがっくりでしたが、逆に、ワクチンの状態をきちんと接種前にチェックしてくれていることがわかり、助かったなと思いました。
☆配送のサプライヤーが冷蔵環境を保たずに運んだという説明でした。
めったにないことだとは思いますが、フィリピンだとこういうこともあるのね、と学びました。^^;
まとめ
子どもの予防接種は小児科医であればだいたいしてもらえるので探しやすいのですが、大人は意外と探しにくいな、という印象です。
今回は特に流行が起こってしまったあとだったので、在庫も少なくなっていました。
外国人が救急外来などに飛び込まずに予防接種できる施設を探す方法としては、以下の3つかなと思います。
- 知っている医師に直接問い合わせ
- 予防接種を実施しているクリニックの窓口に問い合わせ
- ジャパニーズヘルプデスクに探してもらう
また、今回のMMRの接種費用としては、
- クリニックでは1100〜1500ペソ(日本人会は会員であるかにもよる)
- 私立病院の小児科医師は3000ペソ前後
- ジャパニーズヘルプデスクに探してもらうと+1500ペソ
ということがわかりました。
施設によっても、また在庫の種類によっても変わると思いますが、少しでも参考になれば幸いです。
予防接種の在庫の探し方について、総合病院のコンシェルジュ(総合受付)でもやってもらえたよ!という情報があればお知らせいただけると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました^^