フィリピンマニラで稽留(けいりゅう)流産から自然排出に至った話・1 では診察と流産の診断までのお話をしました。
今回も生々しい表現があるので、不快になる方や悲しい気持ちになる方がいらしたら申し訳ありません。
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子宮内除去方法の選択
稽留流産と診断された日、同時に2つの選択肢を説明されました。
- Natural Miscarriage(待機療法)
- Procedure completion curettage(子宮内除去術)
Natural Miscarriageは、何もせず自然に子宮内のものが出てくるのを待つ方法です。
Procedure Completion Curettageは、一般的にはD&C(dilatation and curettage)と呼ばれる処置のこと。子宮内掻爬(そうは)とも言います。
外科的な処置のうち、D&Cは子宮頸管(赤ちゃんの通り道)を広げた上で器具を使って中の物を取り除きます。
麻酔を使って行うので1日で終わるというのがメリット。日本でも一般的に行われている処置です。
ただ、私の場合は以下の理由で自然排出を待つことにしました。
- 処置にはどうしても合併症のリスクがある。
- COVID-19の影響で、入院のハードルが高い
D&Cは通常であればそれほど大きなリスクを伴うようなものではありません。
ただ、フィリピンの病院の状況として、入院が必要となる処置はできるだけ避けるというのが医師の推奨でもあり、
万が一合併症が起こった場合のケースも考慮し、私もまずは待ってみようと決めました。
子宮内除去方法の補足
蛇足ながら、今回私が提示された自然待機、掻爬術の2種類の方法以外にも稽留流産後の選択肢があるのでメモしておきます。
- 吸引法(Manual Vacuum Aspiration)
- 薬物療法
吸引法は最近日本でも普及が始まっているという、掻爬よりも子宮への負担が少ない方法です。
薬物療法は海外ではメジャーとなっているものですが、日本では認可されていません。
薬物については掻爬よりも体への負担が少ないということで日本でも認可を支持する議論が長年起こっていますが、自宅で自分で服用するので、大量出血の際の対応が遅れるなどのリスクも指摘されています。
フィリピンは?と質問したところ、中絶が認められていないので、薬物での流産処置は認可されていないという説明でした。
吸引については設備の問題かと予想されますが、処置なら掻爬と言われました。
自然排出〜最終診察
自然排出を待つことにしてから、自宅で通常通り過ごすよう言われました。
赤ちゃんの成長が止まっていることには関係なく、引き続きひどいつわりが続いていました。
このつわりに耐えても報われない悲しさが日に日に増し、精神的にもしんどかった時期。
ただ、日を追うごとに嘔吐の回数は減り、フルーツなどだけでなくプレーンなパンを食べられるように!
少しでも炭水化物を摂れるようになったことで、体重減少のスピードは一段落しました。
そして、診察から3週間が経ったころ。
朝から倦怠感が強く、頭がとても痛かったのを覚えています。
1か月以上ぶりに、おなかが緩くなり、まとまったお通じがありました。
出血の塊がその前の1週間ほどで増えていたので、いよいよかなと感じていたその夜、
強い腹痛がきました。
生理痛の重いときのような、きゅうっとした痛みが波のように強くなったりひいたりすることを繰り返すうちに、赤ちゃんの通り道に「なにか降りてくる感覚」がわかりました。
大きな血のかたまりかもしれないと思ううちに、、
するん、と小さなお産を終えました。
通常のお産であれば、出てくるのは赤ちゃんと胎盤ですが、
そこにあったのは、まさにタマゴのような、白いもの。
赤ちゃんはこんなふうに大事に包まれていたんだなあとしみじみ見てしまいました。
日本ではそれを病院に持っていき病理検査に出すこともあるとインターネットのクリニックのページで見ましたが
医師に確認したら「キープしておく必要はないよ」とのお返事。
出てきたものをどうしよう。。。
ものすごく大きな葛藤がありましたが、火葬できるわけでもないので、何重にもくるんでバイバイしました。
みんなどうしてるんだろう。
本体が出たあとも多めの出血はしばらく続き、貧血もあったので数日は横になっていました。
水分はいつも以上にこまめに摂ることを心がけました。
医師に報告し、受診は子宮内のものが出るまで3日以上待ってからということになり、翌週にエコーで改めて診てもらいました。
少しだけ中に残っているものがあるということで、お薬を処方してもらいました。
メチルエルゴメトリン(Methylergometrine)というお薬で、子宮収縮を促し出血を止めるものだそう。
その頃には気分不快はほぼなくなっており、久しぶりに油の入ったものもタンパク質も摂れるようになっていました。
短い妊娠が終わったのだな、とようやくひと息つきました。
今後について
医師からは、「次の生理を確認したら妊娠活動を再開してもいいよ」と言われました。
妊娠期間をどのくらい開けるかというのは、日本でも医師によりいろんな考え方があるようですね。
2回の流産が続いたので、「不育症」という状態になったわけですが
その検査をするかどうか、また、もう一度妊娠をトライするかどうかを夫婦で話し合わないといけません。
担当医師は、「初回の妊娠、出産が問題なかったので不育症の検査は必要ない」という見解でした。
2人目以降の不育症の場合もあるので、どこまで検査を求めるかは専門の医師と相談する必要がありそうです。
フルの検査で6万〜7万ペソと言われたので、それなら日本で受けたほうがいいかも、、
マニラは不妊治療の情報は友人からもいくつかもらっているのですが、不育症の検査については情報がないので、少し休憩してから調べてみようと考えています。
まとめ
マニラでの流産は、プロセスとしては日本とほぼ同じでしたが
2020年現在
- 受診のハードルは日本よりも高い
- 妊娠に関わる受診で海外医療保険は使えないので、通訳サポートなどもなく自力で英語受診となる
- 流産後のプロセスは(サイズや週数により)自然排出をまず勧められた
という状況でした。
私はマニラでの出産経験もあり、医療のバックグラウンドによる基礎知識もあったなかの出来事でしたが、それでも精神的にきつい1か月でした。
自然排出を選んで、不安もありましたが短い時間でも我が家に来てくれた赤ちゃんと、静かに時を待つことができたのは結果としてよかったと振り返って思います。
参考:早期流産の処置方法の選択/公益社団法人 日本産婦人科医会