今回はデリケートなお話です。
少し生々しい表現もあるので、不快になったり、悲しい気持ちを思い出してしまう人もいるかもしれませんが、ご理解いただければと思います。
海外で妊娠するだけでもいろいろ心配なことが出てくるものですが、特に流産については友人にも情報を聞きづらいため、私が当事者になって調べたとき情報が少ないと感じました。
ここでは、残念ながら同じような状況になる方が今後いた場合の情報共有として、流産に関する病院受診についてと、経過を残したいと思います。
我が家の妊娠に関する基本情報
はじめに我が家の基本情報をまとめます。
- 2016年1月 第一子をマニラで自然妊娠
- 2016年9月 長男を自然分娩(麻酔補助下:マニラSt. Luke’sにて)
- 長男が2歳になったころから妊娠活動開始(不妊治療には至らず)
- 2019年8月 妊娠→切迫流産ののち、完全流産(自然排出)
- 2020年5月 妊娠→稽留流産の診断ののち、完全流産(自然排出)
長男の妊娠中は、つわりがひどく妊娠悪阻(おそ)に。
水分も十分摂れない状況になり、ケトン体が出てしまいSt. Luke’sに3回入院しました。(そのうち1回は膀胱炎)最終的な体重減少は8.5キロでした。
今回の流産は2回目です。
前回(2019年)は心拍を確認したのち、8週で出血が始まり切迫の診断→自宅安静のあいだに完全流産となりました。
不思議なことに、そのときはつわりがほぼなく、倦怠感は強かったものの出血がなければ妊娠しているという自覚があまり出ないような状況でした。
今回(2020年)は折しもコロナ禍の真っ只中で、ECQ(強化されたコミュニティ隔離)という強力な外出制限の政策が取られているなかでの妊娠。
8週まで受診できず、初回の受診で稽留流産の診断。その後3週間待ち、自然排出となりました。
切迫流産:流産しかかっている状態。安静にすることで正常な出産まで至ることもある。
稽留(けいりゅう)流産:体内で赤ちゃんが死亡している状態。
妊娠悪阻(おそ):つわりが重症化し、水分が摂れない、代謝障害がおこる(ケトン体が尿中に出る)、体重が5%以上減少するなどの状態になると妊娠悪阻と診断され、治療が必要となる。
知っておきたい妊娠初期に関連する英語
産科医師 Obstetrician/ OB-GYN(産婦人科の略語)
流産 miscarriage
つわり morning sickness/ serious vomiting in pregnancy(妊娠中のひどい嘔吐)などの説明でも通じる
妊娠検査薬 pregnancy test
超音波検査(エコー) ultra sound
直近の生理日(問診で必ず聞かれる) last period
子宮けい癌検診 pap smear/ swabとも言われます
卵黄嚢(らんおうのう) yolk sac
染色体異常 chromosome abnormalities
子宮内除去処置 completion curettage/D&C(dilatation and curettage)
受診前〜つわりが始まる
4月末、倦怠感とともに食欲不振が始まりました。
「なんとなく常に胃がムカムカするかんじ」という状態から3日ほどで固形の食事を受け付けない状態に。
すぐに妊娠検査薬を薬局で購入し検査するものの、陰性。
日を開けて数回トライしましたが、簡易検査ではすべて妊娠反応陰性となりました。
吐き気が始まってから2週間で1日に3回以上吐き戻すようになり、寝たきりの毎日に。
妊娠ではないとしたらなんの病気なのか、、という不安もまじり、精神的にかなり追い詰められていました。
息子のときの産科医師含め、3人の産科医に連絡を取り状況を説明したものの、病院の状況的に「もう少し待ちましょう」ということで受診できず。
5月3週目に入る頃には、体重減少がもともとの6%を超えており、脱水も心配な状態になっていました。
薬局で妊娠チェックのための尿検査のキットを購入できます。(pregrancy test)
今回、尿での妊娠検査が陽性にならなかった理由として助産師の友人曰く、検査に反応する前の超初期につわりが始まったのではと言われました。
病院受診〜妊娠検査
ひとりの医師から、採血で妊娠かどうか検査してもらうよう指示をもらいました。
セントルークスの代表番号へ電話し、ラボ(検査部)につないでもらうよう依頼。
しかし、COVID-19の感染疑いのゾーン分けのためすべての外来患者はER(救急外来)を通ることになっており、ERを受診することになりました。
通常の受診でも、セントルークスは動線が悪く長時間待つことは日常茶飯事。
この日も数時間待ち、採血と吐き気止めの点滴、産科の内診をしてその日は終わり。
翌々日、採血の結果、妊娠を示す数値であるとお知らせをもらいました。
採血はERの診察、内診、検査費用など込みで5500ペソでした。
妊娠関連なので海外医療保険は使えませんが、Maxicareというローカルの医療保険で診察の一部をカバーしてもらえました。
採血で妊娠の可能性を示唆されたのは、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という妊娠中に産生されるホルモンの値です。
ただし、このホルモンの値が上昇したとしても、異所性妊娠(子宮外の場所で受精卵が着床した状態)や、絨毛(じゅうもう)性疾患という、胎盤から発生する病気の可能性もあるため、できるだけ早く超音波で妊娠の状態を診てもらう必要があります。
医師診察〜稽留流産の診断
採血の結果を受け、5月18日、マカティメディカルを受診。(まだセントルークスのクリニックが閉鎖されていたため)
流れは以下のとおり。
- 体重と血圧測定
- 過去の妊娠の経過や既往歴(これまでにかかった病気)、アレルギーなどの問診
- 医師の問診、診察(超音波)
超音波検査の結果、初回の診察ではありましたが、赤ちゃんが育っていない、つまり稽留(けいりゅう)流産の診断となりました。
理由としては以下の説明でした。
- 心拍が確認できない
- 赤ちゃんの大きさから推測する妊娠週数を考慮すると、心拍がないということは育っていない、もしくは鼓動を止めてしまったということ
- 卵黄嚢(らんおうのう)が正常より大きく、染色体異常である可能性が高い
私のエコー検査では、赤ちゃんは推定8週程度の大きさになっていました。
卵黄嚢とは、英語ではyolk sacと言われ、妊娠超初期にエコーでリング状の白い姿として見られるものです。
これは胎盤が完成するまで、赤ちゃんの栄養源となるもの。
基準値は医師の判断により変わることもあると思いますが、一般的に5−6mm以上を超えると「大きい」と言われるようです。
私のエコーでの観測値は、9.7mmでした。
yolk sacが大きいということは、赤ちゃんが栄養を十分に吸収できていないということなんですね。
診察してくれた医師からは、
「染色体異常により成長していないと考えられるので、あなたのせいではなく赤ちゃんの受精したときからの運命なんだよ、責任を感じる必要はないですよ」
と繰り返し説明されました。
☆ただし、卵黄嚢が大きい=流産となるわけではなく、赤ちゃんの状態や週数も考慮し判断されます。
診察費は4000ペソでした。
これに加え、痛み止めのお薬や吐き気止めのお薬を処方されました。
妊娠関連なので医療保険は適応になりません。
つづく
子宮内除去方法の選択と、自然排出に至った経過を フィリピンマニラで稽留(けいりゅう)流産から自然排出に至った話・2 でまとめます。